不具合修正依頼

Piレシーバ拡張ボードのハード的な問題点が判明した場合ここに詳細を示し、 修正方法を示しますので、不具合が気になる場合は各自、自己責任にて改造をお願いいたします。
ここに挙げる問題点は実用上ほとんどの場合問題にならないレベルですので、 改造は表面実装部品のハンダ付の経験がある腕に自信のある方にのみお勧めいたします。

不具合⑴ CW出力が出ない周波数がある

▪️症状
CW出力で50MHz〜300MHzと1GHz周辺で信号が出ないが、受信動作は問題ない。

▪️対象ボード
Rev.C
Rev.D

▪️原因
分周器IC HMC432への入力レベルにf特があり、上記周波数で出力レベルが落ち込むため 分周器の入力レベルが不足し動作しなくなる。
f特の原因はシンセIC ADF4351のRFoutとチョークコイルによって発生するf特によるもの。

▪️改善方法
シンセIC ADF4351のRFoutにつながるチョークコイル120nHを抵抗51Ωに交換する。
交換後は50MHz〜2200MHzの範囲で切れ目なく信号が出るようになります。

▪️改善前の回路図(Rev.C,D)



▪️改善後の回路図(Rev.E)



▪️対象箇所の写真



このL7とL8を1608チップ抵抗51Ωに交換します。
この改造はRev.C,Dだけ限定です。Rev.E以降は対応済みです。

不具合⑴の改善裏話

この特定の周波数で信号が出ない問題は開発当初から判っていましたが、 必須の機能ではなかったためしばらく放置していました。
後日ネットワークアナライザ機能を追加する話が出て、この問題を解決する必要に迫られましたが、 しばらくは謎のままでした。

チップインダクタ120nHのシャント接続でのf特を測ってみましたが特に問題はなさそうでした。

下はアナログデバイセズ社製ADF4351評価ボードの回路図ですが、同じようにチョークコイルでバイアスしています。 7.5nHと値が小さいのは高い周波数(数百MHz以上)を想定しているからでしょう。
この評価ボードは100MHz〜4400MHzまで切れ目なく出力が出ているので、PiRadioとの違いがどこかにあるはずです。



実際の評価ボードをよく見るとL2、L3のランドに無理やり51Ωが立てて取り付けてあります。(下の画像)
さてはこれだな・・・と思ったわけです。



同じように120nHを51Ωに取り替えると嘘のようにf特がフラットになりました。
ADF4351出力にインダクティブな負荷をつなぐとf特が暴れるのでしょう。 ハマりやすい現象なので要注意です。 評価ボードの改造跡が大いに参考になりました。