スミスチャートはその見た目から大変難解なイメージを持たれています。 しかし慣れてしまえばこれほど便利な道具はありません。 分かり難い高周波でのインピーダンスの振る舞いを視覚的に表現できるため、ずっとイメージしやすくなります。
このアプリはスミスチャートを使う上で色々憶えないといけない面倒な手順をすべて代わりにやってくれます。 計算尺のようなルーラーを横にスライドさせるとパラメータを変更でき、リアルタイムにインピーダンスの軌跡が変化する様子を観察できます。 10項目以上あるパラメータの選択はルーラーの中央を上下にスライドして選択でき使い方は直感的で非常にシンプルです。 スミスチャートから求めた反射係数などの周波数特性もリアルタイムに表示するので見慣れたf特との関連もイメージしやすくなります。
LC以外に伝送路も扱える様になっていて、マイクロストリップラインとストリップラインを選択できます。 表皮効果と誘電損失からなるロスも計算する事ができ、スミスチャート上でロスのある伝送路のインピーダンス軌跡を表示します。 また正規化されたインピーダンスと異なる特性インピーダンスの軌跡を表示させる事ができるのはコンピュータを使ったツールならではの機能です。
手書きスミスチャートでは困難ですがアプリでは簡単に解析できる例を紹介。 正規化インピーダンスと伝送路の特性インピーダンスが異なる場合のインピーダンスの動きと、伝送路にロスがある場合も紹介します。
左上[TMR]ボタンを押してインジケーターを点灯させると伝送路回路に切り替わり、[RST]ボタンを押すと伝送路以外のLCはオープンまたはショートのスルー状態になります。
[Setup]ボタンを押すと左上の設定画面に切り替わり、ここでは伝送路のパラメータを設定します。
基板断面図の絵をタップするとマイクロストリップラインとストリップラインに交互に切り替わるのでストリップラインを選択します。 基材FR-4のパラメータであるEr=4.5、Tand=0.02を設定し、層間厚はH1=0.8mm、H2=1.0mm、線幅はW=0.1mm、銅箔厚はT=35umとしてZo=100Ωにしています。
[Back]ボタンを押して解析画面に戻り、FREQ=2GHz、Zs=30Ωに設定し、Lengを100mm以上にします。 ここでは正規化50Ωのスミスチャート上で伝送路Zo=100Ωのインピーダンス軌跡がどうなるか表しています。 伝送路にはロスがあるため長さが長い程、周波数が高くなる程50Ωに近づいて行く様子がわかります。